食中毒と一言でいってもその原因はさまざまです。細菌やウイルス、動物性自然毒、植物性自然毒、化学物質、寄生虫などがあり、細菌性の食中毒の原因菌である腸管出血性大腸菌はもともと家畜の腸管内に存在するため、生肉や加熱不足の肉を食することで感染します。
カンピロバクターは主に鶏肉に存在する菌ですが、腸管出血性大腸菌と同様に加熱不足で発症します。細菌性の食中毒の6割を占めるとても注意が必要な細菌です。とある調査では、市販の鳥肉の20~100%にカンピロバクターが見つかっています。
ウイルス性の食中毒の中で一番発症件数が多いのがノロウイルスによる食中毒です。一年間の食中毒の約半数を占めるとも言われており、夏場だけでなく冬に多く発症しています。ノロウイルスは感染力が高く、調理する人の手洗いや調理器具の消毒が不足することで集団感染を招きやすくなります。動物性の自然毒としてはフグやホタテ・カキ・アサリなどの二枚貝、巻貝などがあります。
その他、毒キノコやアジサイなどの植物性自然毒、ヒスチジンを多く含むマグロ・カジキ・カツオ・サンマなどの魚類や加工品により発生するアレルギー様食中毒、クドア・アニサキスなどの寄生虫による食中毒もあります。食中毒の多くは嘔吐や下痢などの症状が見られますが、原因菌や物質によって治療方法が異なることもあるため、受診時の看護師の問診が重要です。「いつ・どこで・なに」を摂取したかだけでなく、調理方法も合わせて確認することで原因の特定がスムーズに行えます。
このように、食中毒患者の治療に携わる内科に勤務する看護師は、食中毒の正しい知識を身につけて適切な対応ができるようにしておくことが大切です。