看護師が把握しておくべき二次感染の恐れのある食中毒の主な原因となるのがウイルス性の食中毒です。特に発生数の多いノロウイルスは、下痢や嘔吐だけでなく発熱もみられる食中毒です。二枚貝やカキなどが原因食品となりますが、問題はノロウイルスに罹患した患者の糞便や嘔吐物などからも感染するため、問診の際は本人だけでなく家族の症状も確認しておくとよいでしょう。
また、ウイルス性の食中毒は、梅雨や夏など高温多湿の時期に多く発生する細菌性の食中毒と異なり冬に多く発生するのが特徴です。発熱だけでなく頭痛や咽頭痛などもあり風邪症状と間違われることもありますが、強い吐き気や嘔吐・下痢の症状があるため、看護師はきちんと症状の確認をしておく必要があります。
乳幼児や小児に多いロタウイルスは嘔吐や水溶性の下痢が特徴です。その他、ノロウイルスのように下痢症状がでるウイルスにアデノウィルスやアストロウイルスなどもあります。
嘔吐や下痢の症状があっても原因ウイルスが異なることが多く、冬場であっても細菌性の食中毒の可能性もあるため、看護師はあらゆる可能性を考えながら患者に接する必要があります。また、食中毒の患者を診察した際は、疑いであっても24時間以内に保健所に届出を行うことが食品衛生法で定められています。さらに、二次感染の可能性のあるウイルス性の食中毒の場合は、看護師から患者や家族に、保温や水分補給の必要性だけでなく、同じタオルを使わないことやトイレなどの食毒も合わせて説明をしておきましょう。