食中毒は、人々の身近でいつでも起こり得る疾患の一つです。四季のある日本では、季節によっても起きやすい食中毒が異なります。今回は、患者指導に携わる看護師に向けて、代表的な食中毒の種類と特性を解説していきます。
まず、年間を通じて発生件数が目立ち、特に夏場に増える食中毒が「カンピロバクター」です。これは主に、加熱が不十分な鶏肉や、処理の過程で汚染された生肉などから感染します。主な症状は、激しい下痢や腹痛、発熱などです。予防のためには、肉類は中心部までしっかりと加熱すること、そして生肉を扱った後の手指や調理器具は十分に洗浄・消毒することが重要です。
一方で、冬場に注意が必要なのが「ノロウイルス」です。ノロウイルスは、感染力が非常に強く、カキなどの二枚貝を十分に加熱せずに食べた際、もしくは感染した人の吐物や便の処理を介するなどして、人から人へと簡単に広まっていきます。突然の激しい吐き気や嘔吐、下痢が主な症状で、脱水症状や二次感染の防止が重要となります。予防には、調理前の丁寧な手洗い(二度洗いが推奨されます)と、二枚貝の中心部までしっかりと加熱することを徹底するよう指導しましょう。
そして毎年、季節に関係なく多く発生しているのが、寄生虫による食中毒「アニサキス」です。アニサキスは、サバ、アジ、イカ、カツオなどの魚介類に寄生しており、生きたままのアニサキスが体内に入ると、胃壁や腸壁に潜り込もうとして激しい腹痛や嘔吐を引き起こします。予防の基本となる方法は、魚介類を新鮮なうちに内臓を取り除くこと、そしてマイナス20℃以下で24時間以上冷凍するか、中心部まで加熱することです。食中毒に苦しむ患者を減らすためにも、これらの食中毒のリスクと予防策を広めていきましょう。